【遺産相続の基本】父親が亡くなったときの相続割合はどのくらい?
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令和4年12月1日時点での東京都中央区の人口は16万4652人であり、そのうち65歳以上は2万5035人でした。
父親が亡くなった場合に遺産を相続できるのは、父親の配偶者と子どもです。ただし、離婚や母親の死亡、代襲相続などによって相続人が変動する場合があります。戸籍謄本などを参照して相続人を正しく確定ながら、適切に遺産分割を行いましょう。
本コラムでは、父親が亡くなった場合の相続人と相続割合や、遺産相続が始まったときに確認すべきことなどを、ベリーベスト法律事務所 銀座オフィスの弁護士が解説します。
出典:「令和4年12月1日現在の年齢別人口」(中央区役所)
1、父親が亡くなったときの相続人と相続割合
父親が亡くなった場合に遺産を相続する人(=相続人)と相続割合(=法定相続分)は、死亡時点での家族構成によって異なります。
以下では、父親が亡くなったときの相続人と相続割合がどうなるかについて、具体的な場合を例に挙げつつ解説します。なお、ここでは自分が父親の子であることを想定しています。
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(1)母親と結婚したまま父親が亡くなった場合
母親が結婚したまま父親が亡くなった場合には、母親が配偶者として相続人となります。
また、相続順位が最上位である父親の子としてご自身とその兄弟姉妹も相続人となります。
配偶者と子の相続割合は2分の1ずつです。
また、子が複数人いる場合には、子の相続割合は均等になります。
(例)
母親・兄・自分の3人が相続人の場合
→母親の相続分は2分の1、兄と自分の相続分は各4分の1 -
(2)母親と離婚した後に父親が亡くなった場合
父親が亡くなった時点ですでに母親と離婚しており、再婚もしていなかった場合には、ご自身とその兄弟姉妹だけが相続人となります。
子が複数人いる場合には、子の相続割合は均等になります。
(例)
兄・自分・妹の3人が相続人の場合
→兄・自分・妹の相続分は各3分の1 -
(3)母親が亡くなった後に父親が亡くなった場合
父親が亡くなった時点ですでに母親が死亡しており、再婚もしていなかった場合には、ご自身とその兄弟姉妹だけが相続人となります。
子が複数人いる場合には、子の相続割合は均等になります。
(例)
兄・自分の2人が相続人の場合
→兄・自分の相続分は各2分の1 -
(4)再婚した状態で父親が亡くなった場合
父親が離婚または母親と死別した後、別の女性と再婚した状態で亡くなった場合は、再婚相手が配偶者として相続人となります。
また、父親の子(ご自身とその兄弟姉妹)も相続人となります。
配偶者と子の相続割合は2分の1ずつです。
他の場合と同じく、子が複数人いる際には、子の相続割合は均等になります。
(例)
再婚相手・兄・自分の3人が相続人の場合
→再婚相手の相続分は2分の1、兄と自分の相続分は各4分の1 -
(5)すでに亡くなっている兄弟姉妹がいる場合
父親が死亡した時点で、ご自身の兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、代襲相続が発生することがあります。
代襲相続とは、死亡等によって相続権を失った人に代わり、その子が遺産を相続することをいいます。
たとえば、父親が死亡する前にご自身の兄が亡くなっており、兄に子がいる場合は、その子(=ご自身の甥(おい)または姪(めい))が代襲相続人となります。
代襲相続人の相続分は、被代襲者(死亡している父親の子)と同じです。
代襲相続人が複数人いる場合は、被代襲者の相続割合を均等に分けあいます。
(例)
自分と兄(父親より先に死亡)の子2人の計3人が相続人の場合
→自分の相続分は2分の1、兄の子2人の相続分は各4分の1
2、実際に相続できる父親の遺産額の計算例
各相続人が相続できる遺産額は、以下の式によって求められます。
父親の遺産総額が6000万円であったと仮定すると、上記に挙げた各ケースにおいて、各相続人が相続できる遺産の金額は下表のとおりです。
相続人 | 相続できる遺産額 |
---|---|
母親・兄・自分の3人 ※母親と結婚したまま父親が亡くなった場合 |
母親:3000万円 兄:1500万円 自分:1500万円 |
兄・自分・妹の3人 ※母親と離婚し、または母親が亡くなった後に、再婚していない状態で父親が亡くなった場合 |
兄:2000万円 自分:2000万円 妹:2000万円 |
再婚相手・兄・自分の3人 ※母親と離婚し、または母親が亡くなった後に、再婚した状態で父親が亡くなった場合 |
再婚相手:3000万円 兄:1500万円 自分:1500万円 |
自分と兄の子2人の計3人 ※兄が父親よりも先に死亡し、兄の子2人が代襲相続人となった場合 |
自分:3000万円 兄の子(2人):各1500万円 |
3、遺産相続が始まったときに確認すべきこと
以下では、父親が亡くなって遺産相続が始まった場合にまず確認すべき事項を解説します。
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(1)相続手続きのスケジュール
一部の相続手続きには期限が設けられており、期限を過ぎると相続人が不利益を被るおそれがあります。
期限が設けられている相続手続きの例としては「相続放棄」や「所得税の準確定申告」、「相続税の申告」などがあります。
また、令和6年(2024年)4月1日からは相続登記も義務化され、3年という期限が設けられます。
相続手続きが遅れると、遺産を活用できないなどのデメリットが生じます。
したがって、相続手続きは計画的に、できる限り速やかに完了することを目指すべきです。
相続手続きを計画的に進めるためには、最初の段階でスケジュールを立てることが大切です。
弁護士に相談してアドバイスを受けながら、必要な相続手続きを時系列に沿ってリストアップするなどの準備を行いましょう。 -
(2)遺言書の有無
遺言書が存在する場合は、相続人間で遺言書と異なる形で別途遺産分割協議を行わない限り、原則として遺言書の内容に従って遺産を分けることになります。
被相続人の遺品を調べるほか、法務局(遺言書保管所)や公証役場に対して照会を行い、遺言書の有無を確認しましょう。 -
(3)相続人の調査
遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。
そして、遺産分割協議への参加者を確定するためには、相続人の調査も必要になります。
相続人の調査は、市区町村役場から戸籍謄本などを取り寄せて行います。 -
(4)相続財産の調査
遺産分割を完了した後に新たな遺産が判明すると、遺産分割がやり直しになってしまいます。
二度手間を防ぐためには、遺産分割協議書で、新たに判明した遺産は別途協議するとの文言を入れておくか、最初の段階で相続財産を漏れなく調査・把握することが大切です。
相続財産の調査方法は、財産の種類ごとに異なります。
専門的な知識が必要になる場合もあるため、相続財産の調査は弁護士に依頼することも検討してください。 -
(5)相続放棄の要否
被相続人が多額の借金を負っており、相続財産よりも借金の方が大きいと認められる場合などには、相続放棄を検討すべきです。
相続放棄をすると、借金の相続を回避することができます。
相続放棄の期限は原則として、自己のために相続が開始したことを知った時点から3か月以内とされています(民法第915条第1項)。
期限を過ぎると原則として相続放棄は認められなくなるので、相続放棄すべきかどうかの検討は早めに行うことが大切です。
判断が難しい場合は、弁護士に相談してアドバイスを受けてください。 -
(6)相続税申告の要否
相続財産等の総額が基礎控除額を超える場合は、原則として相続税の申告を要します。
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
また、配偶者の税額の軽減や小規模宅地等の特例の適用を受ける場合も、相続税の申告が必要です。
相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。
相続税申告の要否を早めに確認したうえで、期限に間に合わせるために、適切に準備を進めることが大切です。 -
(7)遺産分割に関する各相続人の意向
遺産分割協議をまとめるには、各相続人の意向を調整しなければなりません。
スムーズに遺産分割を行うため、相続人同士で早い段階から対話を開始して、互いの意向を伝えあいましょう。
4、遺産相続の悩みは弁護士に相談を
遺産相続の手続きは多岐にわたり、相続人間でトラブルになってしまうこともよくあります。
トラブルなく遺産相続の手続きを終えるためには、法律の専門家である弁護士に依頼することが最善です。
弁護士には相続手続きの大部分について代行を依頼することができるため、手続きに関する負担を軽減することができます。
また、相続人間で揉めてしまった際にも、弁護士が間に入って話し合いを仲介することができます。
調停・審判などの法的手続きが必要になった場合にも、弁護士が手続きをサポートいたします。
5、まとめ
父親が亡くなった場合の相続割合は、死亡当時の家族構成によって異なります。
相続人と相続財産を確定させて、トラブルなく適切に遺産分割や相続手続きを完了させるために、弁護士に相談することも検討してください。
ベリーベスト法律事務所は、遺産相続に関するご相談を承っております。
父親が亡くなって相続への対応が必要になった方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています