痴漢で逮捕後に実名報道されるのか|基準や回避する方法
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2022年に東京都中央区で認知された犯罪件数は2588件でした。しかし痴漢については、多くの被害者が警察に相談できずに終わってしまうというケースも少なくありません。
痴漢行為を疑われた被疑者は、その内容によっては実名報道されることがあります。痴漢の被疑者として実名報道されてしまうと、社会復帰に大きな支障を来してしまうでしょう。
実名報道や重い刑事処分を避けるためには、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。本記事では、痴漢事件の実名報道基準や、実名報道を回避する方法などをベリーベスト法律事務所 銀座オフィスの弁護士が解説します。
1、痴漢事件で実名報道される基準は?
痴漢事件を実名報道するかどうかは、各報道機関が裁量的に決めているので、明確な基準はありません。一般的には、被疑者の社会的地位や被害状況、犯行態様の悪質性などを考慮した上で、実名報道するかどうかが決められています。
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(1)実名報道されやすい痴漢事件の例
たとえば以下のような痴漢事件は、被疑者の実名報道が行われやすい傾向にあります。
- 被害者の数が多い場合
- 犯行態様が悪質な場合
- 被疑者が著名人の場合
- 被疑者が医師、大学教授、専門家など、一般に社会的地位が高いとみなされる職業に就いている場合
- 被疑者が教師、役所の職員、大企業の社員であるなと、公益に関わっているとみなされる職業に就いている場合
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(2)実名報道されない痴漢事件の例
これに対して、以下のような痴漢事件については、被疑者の実名報道が行われる可能性は低いと考えられます。
- 被害者が1人だけであり、犯行態様も通常の痴漢事件と大差ない場合
- 被疑者が一般人であり、特別な知名度がない場合
- 被疑者が未成年者の場合
2、痴漢事件での実名報道を回避する方法
痴漢事件の被疑者として実名報道が行われると、社会的な信用を失い、社会復帰が困難になってしまいます。
実名報道を避けたいなら、警察の捜査に対して任意に協力することや、早い段階で弁護士に相談することが大切です。
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(1)任意の捜査に協力する
警察から取り調べなどを求められたにもかかわらず、出頭を拒否している被疑者については、警察が逮捕に動く可能性が高いです。逮捕された場合、悪質な事件として実名報道される可能性が高まってしまいます。
逮捕および実名報道を回避するためには、取り調べなどの捜査について、誠実に協力する姿勢を見せることが大切です。 -
(2)早めに弁護士へ相談する
実名報道につながりやすい逮捕を回避するためには、早い段階で弁護士へ相談することも重要です。
弁護士を通じて逃亡や罪証隠滅の意思がないことを捜査機関に伝えれば、被疑者が逮捕される可能性は低くなります。
また、痴漢冤罪の場合には、刑事訴追が不適切であることを捜査機関に対して説得的に訴えれば、逮捕されないまま不起訴処分となる可能性も十分あります。
早い段階から弁護士に相談して、逮捕を回避するための弁護活動を行ってもらいましょう。
3、痴漢による逮捕を実名報道されると、会社はクビになる?
痴漢の疑いで逮捕されたことが会社に知られると、クビになってしまうのではないかと不安に感じるかもしれません。
実際には、逮捕されただけでは原則として、会社が従業員をクビにすることはできません。ただし、有罪判決が確定すると、クビになる可能性が高いと考えられます。
また、強制的にクビにされなかったとしても、自主的な退職を求められることもあるので注意が必要です。
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(1)逮捕された時点では原則クビにできない
逮捕を理由とする解雇は「懲戒解雇」に当たります。
懲戒解雇を行うためには、就業規則上の懲戒事由に該当することが必要です。そのため、「逮捕されたこと」が懲戒事由に挙げられていなければ、逮捕を理由として従業員を懲戒解雇することはできません。
また、就業規則上の懲戒事由に該当するとしても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は無効です(労働契約法第16条)。
逮捕された時点では、まだ有罪が確定したわけではありません。したがって、逮捕されたというだけでは、会社が従業員を懲戒解雇することはできないと考えられます。
ただし、従業員が痴漢の罪を認めていて、有罪判決を受けることが確実である場合には、懲戒解雇が認められる可能性もあるので注意が必要です。 -
(2)有罪判決が確定すると、クビになる可能性が高い
痴漢について刑事裁判で有罪判決が確定した場合には、従業員はクビになる可能性が高いです。
クビを回避したいなら、有罪判決を避けるほかありません。起訴されてしまうと有罪となる可能性がきわめて高いので、不起訴を目指して弁護士に弁護活動を依頼しましょう。 -
(3)自主的な退職を求められることもある
法的には懲戒解雇が認められない段階でも、会社が不祥事のイメージを払拭するため、逮捕された従業員に対して自主的な退職を求めてくることがあります。
従業員としては、会社の退職勧奨に応じる義務はありません。退職を受け入れてもよいですが、拒否することもできます。復職するつもりがあるならば、退職勧奨は拒否しましょう。
なお、会社が退職の条件として、上乗せ退職金などを提示してくる場合もあります。もし会社側から条件提示を受けた場合には、弁護士に相談してアドバイスを受けつつ、その条件をのんで退職するか、あくまでも退職を拒否するかの方針を適切に定めましょう。
4、痴漢事件で逮捕された後の流れと弁護士によるサポート
痴漢事件で逮捕された場合、刑事手続きは以下の流れで進行します。各段階において、弁護士は被疑者・被告人を全面的にサポートいたします。
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(1)逮捕~勾留請求
逮捕の期間は最長72時間で(刑事訴訟法第205条第2項)、その間に警察官や検察官による取り調べが行われます。逮捕中の被疑者に面会できるのは、弁護士のみです。
検察官は、被疑者に罪証隠滅や逃亡のおそれがあると判断したときは、逮捕から72時間以内に、裁判官に対して勾留請求を行います。裁判官が勾留の理由と必要性を認定した場合には、勾留状が発せられます。
弁護士は、被疑者に面会して取り調べに関するアドバイスを行い、また必要に応じて家族とのやり取りも取り次ぎます。さらに、検察官に対して勾留を請求しないように説得するなど、被疑者の身柄の早期解放に向けて尽力いたします。 -
(2)起訴前勾留~起訴・不起訴
勾留状が発せられた場合は、逮捕から起訴前勾留に移行します。起訴前勾留の期間は原則10日間、そこから更に10日間の延長が可能ですので、最長20日間です(刑事訴訟法第208条)。
起訴前勾留の期間中も、逮捕期間に引き続いて取り調べなどの捜査が行われます。原則として家族も面会できますが、接見禁止命令が発せられた場合は弁護士以外の面会ができません。また、家族による面会には15分程度の時間制限が設けられています。
検察官は、起訴前勾留の期間が満了するまでに、被疑者を起訴するかどうかを判断します。嫌疑がないまたは不十分である場合のほか、嫌疑が確実な場合であっても、社会における更生を促すべきと検察官が判断して不起訴となることもあります。
起訴前勾留の期間中において、弁護士は勾留処分に対する準抗告の申し立て、被害者との示談交渉、検察官に対して起訴の必要がない旨を訴えるなど、被疑者の身柄を早期に解放するためにさまざまな活動を行います。 -
(3)起訴後勾留
検察官によって被疑者が起訴された場合には、呼称が「被告人」と変更されて、引き続き身柄が拘束されます。起訴後勾留の期間は2か月間で、1か月ごとに更新が可能です(刑事訴訟法第60条第2項)。
起訴後勾留の期間中は、公判手続き(刑事裁判)に向けた準備を行います。また、起訴後勾留への移行後は、裁判所に対して、担保金を積んで身柄解放を求める保釈を請求可能です(同法第89条、第90条)。
弁護士は、公判手続きにおける方針についてのアドバイスや、公判手続きで提出する書面の作成等の準備、保釈請求などを行い、被告人を引き続き多面的にサポートいたします。 -
(4)公判手続き
公判手続きでは、検察官が犯罪事実を立証し、被告人がそれに対して反論します。
審理が熟した段階で、裁判所は判決を言い渡します。控訴・上告を経て判決が確定し、有罪であれば刑が執行されます。
被告人の方針は大まかに、罪を認めて情状酌量を求めるか(自白)、または罪を否認して争うか(否認)の2通りです。弁護士は、被告人と相談して決めた方針に従い、被告人が重い刑事処分を避けられるように、公判手続きにおける弁護活動を行います。
5、まとめ
痴漢事件の被疑者として実名報道されると、社会的な信用を失ってしまいます。特に逮捕された場合は、実名報道されるリスクが高くなる点に注意が必要です。
痴漢の疑いによる逮捕や重い刑事処分を避けるためには、早い段階で弁護士に相談しましょう。
ベリーベスト法律事務所は、刑事事件に関するご相談を随時受け付けております。ご自身やご家族が痴漢の疑いをかけられてしまった方は、刑事弁護についてお早めにベリーベスト法律事務所 銀座オフィスへご相談ください。
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